2011年7月27日水曜日

肝臓

医原性ヘモクロマトレーシス(鉄沈着症)と呼んで支障のない病態は、再生不良性貧血などの際、やむを得ず行われる大量出血の結果起こる可能性があります。
しかし、この場合は、二次性または続発性とされ、どちらかといえば、まずい医療行為によってという意味が強い「医原性」という文字がつかわれることは決してありません。

ある話しですが、都内の某病院から他病院の病歴室あてに、照会の手紙が届きました。
その病院に74歳の女性で肝臓性脳症と思われる患者が入院したが、10年ほど前に当院で肝性検を受けたことがあるとのこと。
それで当時の状況を知らせてほしいという趣旨でした。

これぞ忘れもしない医原性ヘモクロマトーシスの患者で、55歳から63歳までの8年間に3回の入院、2回の肝性検を当院で行っていたのですが、なぜか入院のとき以外はまったく姿を現さない患者でした。
この患者は49歳のときに胃潰瘍で胃切を受けていましたが、輸血を受けた既往歴はありません。

問題は52歳から55歳の間に、近くの医院で、疲れやすいことを主訴として栄養剤の点滴を希望し、なんと20グラムもの鉄剤がその3年間に静脈投与されていたことです。
この事実は、初回の病院入院時、ヘモクロマトーシスと診断された後に調べて判明したことです。
そして、本人や家族はもちろん、当の医院も、最初の点滴オーダーは出したものの、その後は看護師が指示通りやっていたという驚くべき状況でした。

初回の肝性検時すでに肝硬変の病像で、まるで羊かんのような色の肝切片が採取された記憶があります。
大量の鉄剤が静注されたとしても、わずか3年間で肝硬変になるには、あらかじめ何らかの肝臓病が存在した可能性も否定できません。
その後何の音沙汰もないところに突然、60歳、63歳の2回、肝性昏睡のため再入院し、63歳のときに第2回目の肝性検を行いましたが、鉄沈着は著しく減少していました。

点滴の内容を一度もチェックしないで、延々と行った医院側に全責任がりますが、気ままな性格の患者側にも責任の一端があると思います。
この種の患者は世間には多く、患者教育も医療従事者の義務といえるでしょう。

2011年7月13日水曜日

トリグリセライド

トリグリセライドは、食べたカロリー(摂取エネルギー)が運動その他で使うカロリー(消費エネルギー)よりも多かったときに蓄積されます。

このトリグリセライドが皮下についているうちはまだいいのですが、中年以降に太りだした人では、内臓周辺につくことが多く、こういうトリグリセライドの付き方は健康に深刻なダメージをもたらします。
トリグリセライドを減らすためには、トリグリセライドをエネルギーとして使ってしまうことが必要です。

その方法は、
①→食べる量を減らす
②→運動量を増やす
③→①+② 
です。

トリグリセライドが1kg燃焼するには、食べたカロリーから使ったカロリーを引いて、約7000kcalのマイナスにならなければいけません。

それ以外にトリグリセライドを取り去る方法は一つもありません。