2011年9月23日金曜日

ウイルス肝炎のワクチン

副作用の少なく効果のすぐれたワクチンができましたから、将来は、外国に出かけるときに接種しておけば、まずA型のウイルス肝炎に感染することはないであろうと思われます。
国内でも、年間10万~20万人くらい患者が出ますから、A型のウイルス肝炎が流行するようなときには、患者数が多いといわれているところにに住んでいる人はワクチンの接種を受けておいたほうがいいかと思います。

A型のウイルス肝炎でもう一つわかっているのは、家族内発生がわりに多いということです。
これは同じものを食べて感染が起こる場合と、ある人からある人へと家族内で次々に伝染している場合の二つがあります。
次々に伝染している場合には、ワクチンで予防することが可能です。
A型のウイルス肝炎の潜伏期間はおよそ1カ月ですから、家族が次々にうつるときには、1カ月くらいおいて次の人に病気が出ます。
ウイルスが侵入したかどうかわからないぐらいのところで(つまりウイルスが先に侵入してしまってから)ワクチンを接種しても、発病を抑える可能性がありますから、A型肝炎にかかった人がいたら、家族全員にワクチンをしておくのが安全です。

2011年9月19日月曜日

高脂血症を防ぐ食物繊維の働き

食物繊維には2つのタイプがあります。
1つは、果物や海藻に多く含まれ、水に溶けるタイプの食物繊維です。
もう1つは、野菜やきのこに含まれる、水に溶けないタイプの食物繊維です。

水に溶けるタイプの食物繊維は、腸内でコレステロール、中性脂肪、糖質、食塩などの吸収を遅らせたり、妨げたりする働きをします。
動脈硬化、高脂血症、肥満、高血圧などの予防に役立つといわれているのはこのためです。
腸内で吸収されなかったコレステロールなどは、食物繊維とともに便となって排泄されます。
ペクチンという水溶性の食物繊維については、コレステロールから合成される胆汁酸を便といっしょに排泄する作用も知られています。

一方の水に溶けないタイプの食物繊維には、腸の働きを活発にし、便のかさを増やして、発がん物質などの有害物質をどんどん外へ押し出す働きがあり、便秘や大腸がん、肥満などの予防効果が期待できます。

食物繊維の摂取に関して、厚生省は1日20~25グラム(摂取熱量1000キロカロリー当たりグラム)の摂取をすすめています。
食物繊維は不足しがちなので、食物繊維の豊富な食品を意識してとるように心がけましょう。

2011年9月17日土曜日

リウマチと遺伝

子供に関節リウマチが遺伝するではないかという問題は、結論からいうと、心配する必要はありません。
たしかに関節リウマチという病気には、遺伝的、体質的な要素がありますが、環境因子が加わってはじめて発病するのです。
こういった病気は、高血圧、糖尿病、アレルギー疾患など、ほかにも数多くあります。

心配なのは、母胎が治療のために飲む薬が、胎児へどのように影響するかです。
妊娠を希望する人は、催奇性(奇形を誘発)があるとされる非ステロイド性抗炎症薬は、使わないようにします。

非ステロイド性抗炎症薬は、分娩を遅らせたり、分娩時に子宮の収縮を弱めたりすることもあるので、そういった意味からも、服用は中止したほうがいいでしょう。

抗リウマチ薬(SH製剤や免疫抑制薬など)も、妊娠を希望する人は中止した方がよいでしょう。

なお、医師によっては、少量のステロイド薬なら支障がないとする人もいます。
実際ステロイド薬の胎児への影響は、ほとんどないと考えられています。

2011年9月14日水曜日

皮膚の湿疹と紫外線

皮膚の湿疹を持っている人は、紫外線にあたる際、次の項目について十分な注意をはかりましょう。
特に鼻の先、顔、腕、肩などは紫外線があたりやすい部位です。
当然、皮膚炎(日焼け)や皮膚ガンを発生する確率が上昇します。
これらの個所については、意識してケアしてください。

①日光浴は短時間(二時間以内)を心がけましょう
②外出の際には帽子を着用するか、日傘を使用するようにしましょう
③夏であってもできるだけ長袖シャツ、長ズボンを着用しましょう
④日光浴や海水浴をする場合は、紫外線防止のローションやクリームを塗るようにしましょう

健康な人にとっても、紫外線を浴びすぎるのは危険です。
強すぎる日差しは避けて、紫外線防止製品を利用しましょう。

2011年9月6日火曜日

肝臓病とB型肝炎

基本的には肝臓病である、B型肝炎も同じですが、血が出たときは、血液のあと始末をきちんとすることです。
といっても、別におおげさなことをするわけではありません。
ちり紙で中性脂肪をふきとったようなときには、そのちり紙をさらにくるんで捨てるとか、衣類に血がついたようなときにはすぐに洗って、血を洗い流しておきます。
テーブルに血をつけたようなときには、ちり紙でふきとっておけば十分です。

血液を洗い流すということが一番大事です。

家庭に肝臓の病気であるC型肝炎ウイルスキャリアがいると、家庭内感染は起こるでしょうか。

患者の家庭に来院していただいて、C型肝炎ウイルスの有無を調べてみると、抗体陽性率は10%くらいになります。
親子間でみても、夫婦間あるいはきょうだい間でみても、それぞれの抗体陽性率はほぼ同じで、特定の関係で家族に陽性率が高いということではありません。

病気になりやすのは「りんご型肥満」

二つの脂肪のつき方で、病気になりやすいのはりんご型、つまり内臓脂肪蓄積型です。
皮下脂肪蓄積型肥満にくらべて、肝臓に負担をかけ、血液中の中性脂肪やコレステロール値が高く、糖尿病や、高血圧、狭心症などの成人病の原因となります。

りんご型かどうかは、ウエストサイズ対ヒップサイズの比率(W/H)でわかります。
この比率が男性では0.9~1.0、女性では0.8を超えた場合がりんご型です。
あるいは、内臓にたまった脂肪が腹部の皮下脂肪の40%以上になると、りんご型肥満です。

性格ではありませんが、おなかの皮をつまんでみても皮下脂肪がそう厚くないにもかかわらず、胴回りだけがふえている場合もりんご型と考えられます。

2011年9月3日土曜日

内臓脂肪とメタボリックシンドローム

厚生労働省がメタボリックシンドロームの該当者とその予備軍がどのくらいいるのかを把握するために、12万人を対象とした全国調査を実施するという発表がありました。

私たちの目の前に示されたメタボリックシンドロームの概念と診断基準は、非常にシンプルでわかりやすいものです。
まず、おへその高さでのおなか周りを測ればいいのです。
そして、内臓脂肪を減らしてメタボリックシンドロームから身を守ることは、命に関わる病気の入り口となる「動脈硬化」を防ぐことです。
メタボ予備軍が急増するいまの状況は、日本の危機であり、世界の危機でもあります。

私は長年、肝臓病の患者さんを診察してきて、肝臓に脂肪がついた「脂肪肝」が急速に増加していることに危機感を感じていました。
実際に、脂肪肝の患者さんは動脈硬化性疾患を合併しやすく、内臓脂肪も貯まりやすいのです。
検診などで脂肪肝と指摘されたら、おなか周りサイズの超過と同じように、メタボリックシンドロームに片足を突っ込んでしまったと認識するべきでしょう。

2011年9月2日金曜日

中性脂肪とメタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームの要因には、どんなものがあるのでしょうか。

まず、インスリンレジスタンス(インスリンに対する抵抗性)の障害、高インスリン血症、耐糖能生涯、高中性脂肪血症(または高VLDL血症)、低コレステロール血症、高血圧症などがあげられます。
これらの症状のレベルは、単独ではそれほど高くなくても、いくつか合併していれば、これをメタボリックシンドロームとして治療の対象にしていこうとするものです。

メタボリックシンドロームの要因とされるのは6つの病態と喫煙は、虚血性心疾患の危険因子として、かねてから指摘されていたものです。
そして、このメタボリックシンドロームは虚血性心疾患を引き起こす重要な病態(症候群)として最近注目を集めており、今後のさらなる研究がおおいに期待されています。

インスリン非依存型糖尿病の患者では、高インスリン血症(血液中のインスリンが多すぎる)によるインスリンレジスタンスが原因となり、耐糖能生涯を起こしているケースが多く見られます。
これは、インスリンノーマと呼ばれるインスリン分泌過剰血糖症で、明らかに肥満にその原因があります。

●参照サイト
中性脂肪の関与|中性脂肪を下げる方法