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スポーツ科学者がスポーツ動作を研究するときには、
選手の動作を外から観察して、種々の分析を経て、
言語や数値で表現します。
しかし、スポーツ選手が実際に運動を行うときには、
自分の中の感覚で用います。
言語や数値で表し得る客観的分析を基にした動作記述が
スポーツ科学の世界です。
一方、自己の感覚・感性・イメージなどによって
主観的に運動を実践するのが、スポーツ競技の世界です。
例えば陸上競技のスプリント(短距離走)の場合、
バイオメカニクス研究者は、走者の脚の後方スイングに
目をつけ、世界の一流スプリンターは、脚の後方スイング速度が
早ければ早いほど、疾走速度が速いと結論しました。
しかし、後方スイング速度という客観的分析結果をそのまま
走るときの主観的動作イメージに持ち込み、後方に脚を
引き戻す動作感覚(例えば、後方にひっかく感覚)で
走ると、走スピードは上がらないのです。
客観的に理解したことを、そのまま動作感覚に
直訳してしまうと、うまくいかないことが多々あります。
客観的世界と主観的世界の二つは、互いに異なる別々の
世界を成しています。
二つの世界は別々の世界であるから、一方から他方へ
越境するときには、翻訳が必要になります。
二つの世界のずれを認識し、二つの世界の対応を
考え、互いをどう結ぶのか。
これらのことを考える講義、それが"運動科学"です。
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