狭心症でも「胸が痛い」という症状だけで判断しても早とちりになることがあります。
たしかに、胸の痛みは典型的な狭心症の症状です。
ところが、患者さんのなかには「胸がグーと押される」「締めつけられる」「息が詰まる」「胸がなんとなく重くなる」など、いろいろな表現をする人が多いのです。
さらに痛む場所も左胸とは限りません。
胸の中央部やみぞおち(おへその上)、左肩や左腕へと放散する痛みや重苦しさのこともあります。
ときには、それらの症状がのどやあご、歯に感じることさえあるのです。
狭心症は、広い範囲に痛みや重苦しさなどの症状がみられるということを、ぜひ覚えておきましょう。
狭心症の痛みや重苦しさは、長い時間続かないものも大きな特徴です。
およそ数十秒から数分もたつと、スっと消えてしまいます。
このため、つい見過ごしてしまう人も多いのです。
胸の痛みや重苦しさなどをしばしば感じる場合には、必ず医師に診てもらうことが大切です。
すでにしばしば発作を起こしている人は、発作のときにニトログリセリンという薬を舌下に含むように指示されていることでしょう。
この薬は、冠動脈を一時的に拡張して心筋に動脈血を送りこめるようにする特効薬です。
発作時に使うと胸の痛みは1~2分でおきます。