物体が放射するエネルギー分布の山は、
高温になるほど、短波長に近づき、
青味がかかった光を出すようになる。
星の色と温度の関係に、世界で初めて気がついた人は、
イタリアの天文学者ピエトロ・アンジェロ・セッキである。
赤い星は温度が低く、黄色はより高く、
青い星が一番温度が高いのではないか、
と考えた。
それはセッキが村の鍛冶屋が働く様子を見ているうちに
気がついたのだろうといわれている。
かまどから取り出したばかりの鉄のかたまりは、
まばゆいばかりに白く輝いている。
親方が槌で打ちはじめ、鉄はしだいに冷め、
浅い黄色から、ゆっくり暗いいろに変わっていく。
「星はほってて金属でできているわけではないだろうが、
星の色と温度は関係があるのではないか」
セッキはこの考えをもとに、1863年から67年にかけ、
約4000個の恒星スペクトル観測を総括し、
星の色と暗線配置により4つの型に星を分類し、
天体物理学の基礎を築いた。
高温物体-星とは限らなかったが-の温度により
見かけの色が変わることが、きちんと理論化されるのは、
それから30年の歳月を必要とした。
ドイツの物理学者
ウィリアム・ウィーンが、キルヒホッフの黒体放射を
空洞放射に切り換え、放射そのものに熱力学を
適用するという、当時としては大胆極まる
手法によって成し遂げたのであった。
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