化学変化を起こす前と後では、反応に関する物質全体の
質量は変化しない。
ラボアジェの化学革命
アントワーヌ・ローラン・ラボアエジャは
1774年に質量保存の法則を提唱したことにより、
化学革命を始めた、といわれる。
ラボアエジャの化学革命は、古代ギリシャ以来の
四元素説を疑うことからはじまった。
四元素説を信じる学者は、水を長い間沸騰させると
沈殿物が生じるので、水を熱すると土に変わると
考えていた。
ラボアエジャは水をガラス容器に入れ、
101日間熱した。
確かに沈殿物はできた。
だが、彼は実験の前と後でガラス容器の重さを計っていた。
ガラス容器が軽くなった分だけの重さの
沈殿物ができている。
水が変化して沈殿物ができているのではなく、
ガラスが変化してできていることを明らかにしたのだ。
さらにまた、当時の科学者たちが信じていた
フロジストン(熱素)説にも挑戦した。
その説によれば、金属が燃えたあとの金属灰が
さびである。
(これは正しい)とし、そのさいフロジストが
出ていくとする。
それなら軽くなるはずなのに重くなるのは
どうしたことだ、とラボアジェは考えた。
アボアジェは密閉した容器のなかで、ダイアモンドを、
大きな集光レンズを使って燃やした。
しかしガラス容器を含めた全体の重さはまったく
変わらなかった。
密閉容器のふたを開けると、外から空気が入り
その分だけ重さが増えた。
のちに、ラボアジェはそれが酸素であり、
酸素と結びついた分だけ、金属灰が重くなる
ことを明らかにした。
こうして、ラボアジェによる精密測定は
約70年間猛威をふるったフロジストン説を
根底からくつがえし、質量保存の法則へと
導いたのである。
なお、質量保存の法則は、物質不滅の法則ともいう。
彼の魂および法則は不滅であろう。
ラボアジェは25歳の時、ルイ王朝のもとで
政府に代わり税金を取り立てる徴税請負人になった。
しかし、すべてのものを精確に量らずにはいれない
測定オタクの彼は、きちんと精確に、公平であったろうが、
税金を取り立て憎まれることもあっただろう。
フランス革命でギロチン台の霧と消えたのである。
化学革命を推進したものが政治革命で殺される。
これも運命か。
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