2010年6月21日月曜日

アボガドロの法則

同質、同圧のもとでは、同体積の気体は、
気体の種類にかかわらず、同数の分子を含む。


50年の月日をかけて認められた法則

イタリア人のアメリオ・アボガドロが
この法則を言い出す前には
「同湿、同圧のもとでは、同体積は、
同じ数の原子を含む」
という説が主張されていた。

分子と原子の違いを見過ごして、
同じじゃないかと思われていた方が
いるかもしれない。

しかし、分子と原子の違いは重大だ。

同湿・同音・同体積の気体は同じ数の
原子を含むのは、気体反応の法則の項で
説明したように最小単位であるはずの原子を、
さらに分割しなければならなくなる。

だが、アボガドロは、化学反応の最小単位は
分子(原子の集合)であるとして、この矛盾を
ものの見事に解決した。

アボガドロの法則で重要なのは、この法則が
気体の種類によらないで成り立つことだ。

しかし気体が原子ではなく分子から成り立つとした
アボガドロの主張に対し、猛烈な反対論が
湧き起こった。

人々はその正しさを認めず
「アボガドロの仮説」
と呼んだ。

やがて正しさが認められ
「アボガドロの法則」
と呼ぶようになったのだが、
そうなるまでには50年ほどの歳月が必要だった。

まず、原子論の大御所ドルトンからして、
アボガドロを根拠にした気体反応の法則
そのものを否定した。

スウェーデンの有名な化学者イエーンス・ベルセーリウスは、
プラスイオンとマイナスイオンがあるという
「電気化学的二元論」の立場から、H2のような分子の
存在を否定した。

水素のプラスイオン同士は反発するから、
分子を作るはずがないと疑ったのだ。

無理もない疑問であった。

水素分子ができるからくりがはっきりしたのは、
1920年代に量子力学が完成されてからのことなのだから。

ダレもが反対するか、無視するかのうちで、
ただひとり賛成したのが、アボガドロと同黒人の化学者
スタニズラオ・カニッツアーロだった。

1860年、原子や分子についての意見の不統一や
混乱を調節するために、ドイツのカールスルーエに
国際化学会議が召集された。

カニッツアーロは主張した。

アボガドロの仮説さえ認められれば不統一や混乱は
すぐにおさまる、と。

しかし、耳を傾ける学者は少なかった。

だが、その後彼の論文を読んだ者すべてが、
カニッツアーロ、したがってアボガドロの主張を
認めたのだった。

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