エネルギーの出入り口が閉じた領域内では、
エネルギーの総量は常に一定で、
時間によって変わらない。
エネルギーにはさまざまな種類がある。
力学的、電磁気的、熱的など。
エネルギー保存の法則は、そういったそれぞれ単一の
種類のエネルギーの中で成り立つ。
しかし、それだけではなく、それらが互いに
変換される間でも成り立つ。
力学的エネルギー保存の法則を発見したのは、
あのガリレオ・ガリレイである。
ガリレオは、振り子を使う実験をして、
振り子が、ある時点からある時点まで
往復運動するとき、その高さは最初と
最後で必ず同じであるという
「振り子の原理」を見出した。
でも同様に、坂を転がる球は、同じ高さの
B点まで行きつく。
振り子の最高点では、位置のエネルギーが最大、
その瞬間止まっているので運動エネルギーはゼロだ。
振り子が最下点に向かって振れている途中では
位置エネルギーが減ってゆき、運動エネルギーが
増えていく。
最下点では位置エネルギーがゼロ、
運動エネルギーが最大となる。
この間、いつでも位置エネルギーと運動との和、
これを力学的エネルギーというのだが、
振り子がどこにあっても、ずっと同じ
一定不変である。
だからこそ、振り子の高さは最初と
最後で同じになる。
これを力学的エネルギー保存の法則という。
この法則を遊園地で応用しているマシンが
ジェットコースターである。
ジェットコースターは最初に巻上機(カタパルト)で
高いところに引き上げられ、後は勢い、つまり
慣性だけで走る。
そのため動力源は最高点での位置エネルギーのみである。
そのスピードは落差だけで決まってしまい、
たとえばB、D、Hの3点では方向は異なっても、
同じスピードになる。
力学ネルギー保存の法則は、遊びの世界だけではなく、
現世利益にも役立っている。
水力発電だ。
水力発電は、水の位置エネルギーを運動エネルギーの変え、
さらにそのエネルギーを電気エネルギーに変えている。
電気エネルギーまで視野に入れると
力学的エネルギー保存の法則を拡張して、
エネルギー保存の法則へ飛べねばならない。
電磁気的エネルギーの保存則
そのまえに電磁気的エネルギーの保存則を
みておこう。
あらかじめ電池などで充電しておいた
コンデンサーを、コイルを並列に接続する。
するとコンデンサーの電極間の電場のエネルギーが、
コンデンサーからコイルへの電流によって減衰し、
やがてゼロになる。
その間、コイルを流れる電流が増えていき、
コイルに生じる磁場のエネルギーが増え、
最大となる。
つぎに今度は逆にコイルからコンデンサーへ
電流が流れ始め・・・というように、
ちょうど振り子の運動のように繰り返される。
電場と磁場のエネルギーは互いに移り変わり、
時間によって変化するが、その総和は常に一定で
保存される。
ところで、振り子だって、いつもでも振り子運動を
続けるわけではなく、やがては止まるじゃないか、と。
その通り、振り子の重りが空気抵抗を受けるし、
振り子のひもの根元で摩擦もあるしで、運動が
減衰していく。
そのエネルギーも減少していくが、
その分がエネルギーに変換され発揮し、
その分を含めエネルギーの総和は変わらない。
エネルギーの総量は常に一定
そのようなことが、コンデンサーとコイルの
回路における振動でもいえる。
このように単一の種類のエネルギーでも、
必ず熱となって外へ逃げ出す部分が生じる。
逃げていった分も含めてすべてを寄せ集めると
エネルギーの総和は常に一定だ。
これがエネルギー保存の法則であり、
熱力学の第一法則にほかならない。
こうして見てくると、この法則はわざわざ
言い立てるまでもなく、ひどく当たり前で
常識的な気さえしてくる。
しかし、この常識に人類が気付くのは、
実は意外に新しく、19世紀半ばのことなのだ。
まだ200年も経っていない。
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